長時間座っていると、気づけば腰が丸まり、背中が曲がっている。
「姿勢を正そう」と思っても、しばらくするとまた元に戻ってしまう——そんな経験はありませんか?
それは意識の問題ではなく、「骨盤の角度」が関係している可能性があります。
特に40代になると、体幹や臀部の筋力が少しずつ低下し、骨盤が後ろに倒れやすくなります。
この状態を「骨盤後傾」と呼びます。
骨盤が後傾すると、腰の自然なカーブが失われ、知らないうちに腰へ持続的な負担がかかります。
そしてそれが、慢性的な腰の重さや痛みにつながっていきます。
実際、現場で姿勢を確認すると、骨盤が後ろに倒れているケースは非常に多いと感じています。また、「骨盤後傾」している自覚がない人も非常に多いです。
骨盤は、背骨が乗っている「土台」です。
そのため、骨盤の角度が変わるだけで、腰だけでなく背中や首にも大きな影響が出ます。
この記事では、40代デスクワーク世代に多い「骨盤後傾」と腰痛の関係を、作業療法士の視点からわかりやすく解説します。
骨盤後傾とは何か?
骨盤後傾とは、骨盤が本来の位置よりも後ろに倒れている状態を指します。
本来、骨盤はわずかに前へ傾いていることで、腰椎の自然なカーブ(前弯)を支えています。しかし、骨盤が後ろへ倒れると、このカーブが失われ、背中が丸まりやすくなります。
デスクワークでは、椅子に浅く座ったり、背中を丸めた姿勢が続いたりすることで、骨盤が徐々に後傾していきます。
見た目の特徴としては、
・腰が丸まる
・お腹がつぶれる
・首が前に出る
・座っているとすぐに背中が疲れる
といった状態が挙げられます。
一見すると「猫背」に見えることが多いですが、その根本には骨盤の角度が関係しているケースが少なくありません。
骨盤後傾セルフチェック
今この文章を読んでいる姿勢のまま、少しだけ確認してみましょう。
両手をお尻の下に入れてみてください。
ゴリッとした硬い骨(坐骨)に体重が乗っている感覚がありますか?
それとも、尾てい骨あたりに体重がかかっていませんか?
もし尾てい骨側に体重が乗っている感覚がある場合、骨盤が後ろに倒れている「骨盤後傾」の可能性があります。
また、
・長時間座るとすぐ腰が丸まる
・意識しても姿勢が維持できない
・背中がすぐに疲れる
といった症状がある場合も、骨盤の角度が関係していることが少なくありません。
なぜ骨盤後傾が腰痛につながるのか
骨盤が後ろに倒れると、腰椎(腰の骨)の自然なカーブが失われます。
本来、腰椎はゆるやかに前へカーブすることで、上半身の重さを分散させています。しかし骨盤が後傾すると、そのカーブが平らになり、腰椎に直接的な負担がかかりやすくなります。
その結果、
・椎間板への圧力が増える
・腰まわりの筋肉が引き伸ばされる
・逆に一部の筋肉は常に緊張した状態になる
といったアンバランスが生じます。
特にデスクワークでは、この状態が何時間も続きます。
一瞬の負担であれば問題ありませんが、「軽い負担が長時間続くこと」が慢性的な腰痛の原因になりやすいのです。
さらに、骨盤が後傾すると重心が後ろに移動し、上半身がバランスを取ろうとして首や肩にも余計な力が入ります。
そのため、腰だけでなく、
・背中の張り
・首のこり
・肩の重さ
といった症状が同時に現れるケースも少なくありません。
実際、腰痛を抱えている方ほど、巻き肩による肩の痛みや呼吸の浅さ、動作時に背中へ走る痛みなど、複数の症状を併発しているケースが多いと感じています。
なぜ40代で骨盤後傾は悪化しやすいのか
40代になると、骨盤後傾が目立ちやすくなる傾向があります。
その理由のひとつが、体幹や臀部の筋力低下(姿勢保持筋の持久力低下)です。
若い頃は無意識でも姿勢を保てていた人でも、加齢とともに姿勢保持に必要な筋肉が少しずつ弱くなります。その結果、座っているだけで骨盤が後ろに倒れやすくなります。
また、運動量の減少も影響します。
仕事や家庭の忙しさから、日常的に体を動かす機会が減ると、股関節まわりや背中の筋肉が硬くなり、骨盤の可動域が狭くなります。すると、本来の位置に戻しづらくなってしまいます。
さらに、デスクワーク中心の生活では、1日の大半を座って過ごします。
「座る時間が長い」という環境そのものが、骨盤後傾を固定化させる要因になります。
そして40代は、回復力も20代とは異なります。
一時的な負担がその日のうちに抜けにくくなり、疲労が蓄積しやすくなります。その結果、骨盤後傾の姿勢が“癖”として定着してしまうことも少なくありません。
実際、同じデスクワークでも20代30代と40代では、姿勢の崩れ方に明らかな違いを感じることがあります。
骨盤後傾を改善するために今日からできること
骨盤後傾は「意識」だけで完全に改善するのは難しい姿勢です。
だからこそ、意識に頼るのではなく、環境と習慣を整えることが重要になります。
ここでは、今日から実践できる改善方法を紹介します。
① 坐骨で座る感覚を覚える
まずは、骨盤の正しい位置を体に覚えさせることから始めます。
椅子に座り、両手でお尻の下を触りながら、硬い骨(坐骨)に体重が乗る位置を探します。
その位置が、骨盤が立っている状態です。
「背筋を伸ばす」ではなく、
「坐骨に乗る」がポイントです。
② 椅子の高さを再確認する
骨盤が後傾する原因のひとつは、椅子の高さが合っていないことです。
・足裏が床につく
・膝が約90度
・太ももが床と平行
この条件が整っていないと、骨盤は自然と後ろへ倒れやすくなります。
まずは高さの調整から見直しましょう。
※デスクワーク世代向けの基本的な腰痛対策については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 40代デスクワークの腰痛対策|作業療法士が本気ですすめる方法5選
③ 45〜60分に一度立ち上がる
どんなに正しい姿勢でも、同じ姿勢を続ければ負担は蓄積します。
骨盤後傾を“固定化させない”ためにも、定期的に姿勢をリセットすることが大切です。
立ち上がるだけでも十分です。
④ 必要に応じてクッションを活用する
椅子の構造によっては、どうしても骨盤が後傾しやすいものもあります。
その場合は、骨盤を支えるタイプのクッションを使うことで、角度を補助することができます。
ただし、クッションはあくまで「補助」。
土台が整っていない状態では、十分な効果は期待できません。
※背もたれ付きクッションの効果やレビュー分析については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 40代に背もたれクッションは本当に効果がある?レビュー徹底分析
まとめ|骨盤の角度を整えることが腰痛改善の第一歩
盤後傾は、自覚がないまま習慣化していることが少なくありません。
しかし、骨盤は背骨を支える「土台」です。
その角度が崩れると、腰だけでなく背中や首にも負担が広がります。
40代は、筋力や回復力の変化によって姿勢が固定化しやすい年代です。
だからこそ、「意識する」だけではなく、環境と習慣を整えることが重要になります。
- 椅子の高さを整える
- 坐骨で座る感覚を覚える
- 定期的に立ち上がる
こうした小さな積み重ねが、骨盤後傾の改善につながります。
姿勢は一度で劇的に変わるものではありません。
しかし、土台である骨盤を整える意識を持つことで、腰への負担は確実に減らしていくことができます。
まずは今日、自分の骨盤の角度を意識してみてください。


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